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■投稿雑誌「自転車大好き」
投稿雑誌「自転車大好き」創刊の辞

こんなの、作っちゃいました。 よろしくお頼み申し上げます。

●みんなで作ろう! 投稿雑誌

 発作的に自転車雑誌を作ろうと思った。自転車旅行をしていると走って終わりにするのではなく、その体験を記録として残しておきたいとの思いに駆られてくる。いまはSNSで簡単に発信できる世の中だが、こちらはあくまでも紙媒体にこだわる古くさい人間なのだ。

 こんな思いの人は他にもきっといるはず。こうした人たちを読者にし、しかも、そのうえ書き手にまでなってもらえれば、面白い雑誌になるのではないか。いや、面白いかどうかはやってみないと分からないが、そんなものが成り立ちそうな気がしないでもない。

 こう考えてくると、思いはエスカレートしてゆくばかり。しかし、どうやって継続的に出してゆくか。貧乏暇なしの日々を送る中で、いままた新たな雑誌を編集し、発行してゆくとなると、これはなかなか大変な作業になる。

 そこで思い付いたのがいっそのこと、こちらが中心になって作るのではなく、みんなの原稿を寄せ集めて一冊にまとめる、という方法だった。しかも、書き手が印刷する前までの状態に仕上げれば、それらを集めて印刷に回すだけですむ。自転車にテーマを絞った、読者による投稿専門雑誌、というわけだ。

 これでよければ、そんなに手間暇もかからない。忙しい身でありながらも、なんとかやっていけそうである。いったん火がついた雑誌創刊の思いはめらめらと燃え上がり、頭の中は妄想と幻覚でいっぱいになってきた。

 ぼくのブログとフェースブックで、みんなに参加(執筆)を呼びかけた。多少の反応はあったものの、投稿者はいまもってまったくなし。これは初めから予想していたことでもあった。

 その一方で、身近にいる人や知人・友人に直接声をかけて回った。しかし、こちらも反応はにぶかった。「自転車に乗るのは好きだけど、人様に読んでもらうような文章はとてもとても」「パソコンは苦手で、刷るだけの状態にはもっていけそうにない」等々。これはとにらんだ人でさえもがそうだった。

 自転車通勤をしている若いコピーライターにも声をかけてみた。すると彼は「原稿を書かせて金を取るんですか? いただけるのではないですか」との返事。実は執筆者には発行協力金として一頁当たり750円を頂戴することにしていた。

 一冊の雑誌を作るとなると、それなりの費用がかかる。ある程度の出費は覚悟しているが、世に言う“3号雑誌”で終わらせてしまったのでは意味がない。継続的に発行してゆくためにも、この協力金は参加者のみなさんに“協力”してほしい。

 こうなると勧誘するのも楽ではない。中には「そんな雑誌が成り立つわけがない」「やけどをするだけだから、やめておけ」と言ってくれる人もいた。しかし、雑誌を創刊するという思いはもうどうにも止められなくなってきていた。

●他力本願、必死のお願い

 とにかく第1号を作らないことには話が始まらない。創刊号は自分一人の原稿だけででも、発行することにした。これまでに書きためたものを寄せ集め、このため新たに書き起こし、雑誌らしく自転車に関するコラムなども考えた。

 こうしてやっていると、だんだん本気になってくる。仕事やお金のためにするのは気が重いが、したいことを遊びですることほど楽しいものはない。自分本来の仕事もそっちのけにしており、すでにだいぶ出来上がってきた。

 しかし、いくら頑張ってみたところで、薄っぺらなものでしかない。創刊号にしては頁数が少なく、これではあまりにもみすぼらしすぎる。そこで「創刊準備号」と名付け、以後に出す創刊号のための“見本”とすることにした。

 問題は表紙だ。この遊びに付き合ってもらえるデザイナーなどに期待したが、そんな奇特な人はいそうになかった。ギャラなし(内心、お中元とお歳暮くらいは奮発するつもりでいた)では一人の応募者も現れなかった。

 仕方がないので自分で作ることにした。とはいってもイラストなどを書けるわけではなく、著作権フリーの絵を集め、ぺたぺたと貼り合わせるだけになった。ひいき目に見てもお粗末な感じをまぬがれないが、それもこうした状況の中にあっては致し方あるまい。

 これはあくまでも遊びでやる雑誌だ。いわばミニコミや同人誌のようなもので、ごく内輪の特定少数に受ければよいと思っている。粗末なものでもいいので経費は極力抑えるつもりだし、そのためにも参加者には協力金を求めたい。

 創刊された雑誌を見ていると初めは華々しく立派だったのに、号を重ねるごとに見劣りするようになっていくものもある。意気込んだ割には、やはり売れない(受けない)のだ。それくらいなら初めはみすぼらしいものでもいいか轣Aだんだんよくなる雑誌にしていけたらと考えている。

 それにはやはり、みなさんの協力だ。自分がその書き手であり、かつまた、作り手であるという意識がほしい。自転車好きのこんな人たちが集まってきたら、それこそ「瓢箪から駒」「ウソから出たマコト」も決して夢ではない。

 こう書いてきたら、頭の中に「みんなで作るわたしの雑誌」というコピーが浮かび上がってきた。窮すれば通ず、だ。参加者のお慈悲にすがり、これを雑誌のキャッチフレーズにしよう。

 この雑誌に金や手間をかけられないのは、もう一つ同じような雑誌を作っているからだ。これは「影の人 野村作十郎 立川流彫刻の立て役者」(B5判・60頁前後・不定期刊)と言い、江戸後期に出た立川流の宮大工をテーマにしたもの。世に知られていない彼の業績を掘り起こすことにしており、このケンキューを老後のライフワーク(と言えるかどうか)の一つとしている。

 こちらは7号まで出せた。しかし、今年(2019)の1月に出したままになっており、今後はこの再建に取り組む方針でいる。それだけに新雑誌に時間をかけるのは難しく、読者の寄稿だけが頼りとなってくる。

●次号、創刊号が正念場

 今回はやむを得ず自作自演となってしまったが、みんなで作る雑誌に育て上げてゆきたい。そのためにもぜひ原稿を書いて協力してほしいとすがりつくばかりだ。原稿が雑誌という形になるのを喜ぶ人はきっといるはずだし、それを信じて発行に踏み切ることにした。

 次号では読者のページを設ける予定でいる。寄稿はできなくてもいいから、いろいろな意見や感想、批判・文句などを寄せていただきたい。これらを集めた頁も新設する方針だ。

 いささか他力本願となってしまうが、次の創刊号が新たな船出となる。自転車をこよなく愛する方々が思い思いに、自由気ままに書いて下さることを切に願っている。いまこれを読んでいるあなただけが頼りなのだ。(舟橋武志 2019.12.1)

バックナンバー・目次

「自転車大好き」 0号
  1. 創刊に先だって・舟橋武志
    • こんな雑誌ある? 瓢箪から駒、ウソから出たマコト これからにご期待を!
  2. 【特集】3連発ママチャリ一人旅
    遠くへ行きたい。知らない町へ、知らない村へ。のんびり、ゆっくり、自転車旅行 ウォーミングアップ・どこまで行けるか、近江路への旅
    • 第一弾★四国一周の巻・体よりも先に、自転車がいかれた!
        四国は自転車で走るにちょうどよい広さ・行き当たりばったりの宿泊先選び
    • 第二弾★富山への巻・走れ!ママチャリで“彫刻の街”井波へ
        国道156号を北へ北へと・合掌村、白川郷から五箇山へ
        名古屋弁「ケッタ」の旅
    • 第三弾★北海道の巻・76ジジイのそれ行け! 北海道
        急な坂道に悲鳴・出たっ、ジジイの立ちこぎ
  3. 自転車をこよなく愛した人「母からのプレゼント」故・池田陸介さん
  4. 本のちょっと自転車本『輝け!団塊世代の老春』森久士著
  5. ランナーも最後は自転車・さようなら、故・成瀬重彦さん
    • 成瀬さんと出会い、意気投合・アイデアマンだった成瀬さん
  6. 定光寺へ“お試し”ツーリング
    • JR中央線跡のトンネル群へ
  7. 〈日記抄〉平々凡々なれども多事多端
  8. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 1号
  1. 【明智光秀特集】誕生地・岐阜県可児市へ
    • ママチャリで日帰り、小さな旅
  2. もう一つの誕生地・恵那市明智町 レトロな町、日本大正村を歩く
  3. 歴史を掘る! 人気急上昇、光秀ゆかりの地
    • 町民こぞって光秀びいき 明智町
    • 光秀は岐阜の美山町で生きのびていた・光秀さんは村の開拓者
  4. 勿怪の幸い、知らぬが仏 金井敏行
  5. おやじのおさがり 鵜飼昌豊
  6. 【特集】四国漂流者街道を走る
    • 室戸岬から足摺岬へ。初めて知った無人島長平
  7. 本のちょっと自転車本『新・自転車道交法BOOK』疋田智ほか著
  8. 突発企画・ママチャリで桶狭間
  9. 読者との交流プラザ「晴走雨読」
  10. 三寺社へ初詣サイクリング
  11. 同じ青空の下で一期一会、心に残る思い出の人たち
  12. 原稿を書こう!読者プレゼント
  13. 自転車と私と自然 小林培男
  14. 〈日記抄〉平々凡々なれども多事多端
  15. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 2号
  1. 【特集】恥を忍んで書く、わが体型の変遷史 自転車ダイエットの勧め
    • ガイコツがメタボになり、それを克服することが、いまごろになってできるのか
  2. 煮干しで髪は黒くなる!?
    • コワイのは体型の変化だけではない。頭に来ている人、必読か
  3. 台湾環島記1〈西海岸編〉 佐藤和道
  4. 思い出の自転車旅1 根本憲生
  5. おやじのおさがり 鵜飼昌豊
  6. ママチャリとはなんであるのか
    • かくあるべし、その定義と解説
  7. 【特集】「伊藤萬蔵」に狂わせた人
    • 仕掛け人は散歩の達人、山田穂さん
  8. 怒りのバックドロップコーナー1 そこんとこ、分かって下され
  9. フェースブックでワイワイガヤガヤ・出版に未来はあるのか
  10. 読者との交流プラザ「晴走雨読」
    • 晴れた日には自転車を走らせ、雨の日には本を読もう!
  11. 本のちょっと自転車本『「環島」ぐるっと台湾一周の旅』一青妙著
  12. 【特集】渥美半島の伊良湖岬へサイクリング
    • この夏は渥美半島へ行こう!
  13. 田原藩士、渡辺崋山のふるさと〈旧田原市〉、目の前に黒潮おどる太平洋〈渥美地区〉
  14. 〈日記抄〉平々凡々なれども多事多端
  15. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 3号
  1. 高齢者よ、老けるにはまだ早い
  2. 自転車で旅に出よう!
    【特集】熱中症と新型コロナの恐怖下、能登半島ママチャリ一人旅
    • 自転車旅は小説よりも面白い。どこへ行き、だれと出会い、どんなことが起きるのか。
  3. 柴田勝家、福井で神となる、柴田神社
  4. 台湾環島記2 佐藤和道
  5. Stand By Me 山口 章
  6. 思い出の自転車旅2 奥出雲の歴史と人との出会い 根本憲生
  7. 本のちょっと自転車本『斐伊川流域紀行』舟橋武志著
  8. 【特集】ホタルと大トカゲのオバケが出た! ひとりぼっち自転車旅行
    ワシだって若かった!初めて走った半世紀前の四国旅行
  9. 怒りのバックドロップコーナー2 ずるずる嫌、やめて
  10. 読者との交流プラザ「晴走雨読」
    • 晴れた日には自転車を走らせ、雨の日には本を読もう!
  11. 煮干しで髪は黒くなる!?
  12. 〈日記抄〉平々凡々なれども多事多端
  13. バックナンバー紹介 困っておりまする大量在庫
  14. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 4号
  1. 錦秋の秋葉街道へ行く
    • 塩の道・信仰の道・歴史の道、国道152号を茅野市から太平洋まで下る旅
  2. 【特集】秋葉街道沿いの町や村を歩く 予想される難行苦行
    • 大鹿村・飯田市南信濃地区・天龍村・浜松市佐久間地区・同龍山地区
  3. 見聞広めた私の一人旅 若いころ、そしていま
  4. 【特集】ちょろいもんだよ、琵琶湖一周 高低差なし、楽々サイク
    • 犬も歩けば棒に当たる。ママチャリで目指した琵琶湖が待ち受けていたものとは
  5. 台湾環島記3 佐藤和道
  6. 彼岸花 山口章
  7. 読者との交流プラザ「晴走雨読」
    • 晴れの日には自転車を走らせ、雨の日には本を読もう!
  8. 本のちょっと自転車本『東海自転車さんぽ』木村雄二著
  9. 【特集】走ろう!木曽川沿線サイクリングロード
    • 38ツインアーチが目印 犬山・一宮間、コースよし景色よし レジャーにトレーニングに
    • 長良川河畔で「年忘れ」ライド
  10. 〈突発企画〉令和2年は疾風怒濤時代 本屋トーサン?
    • 本屋さんやめます、荒海を乗り切れるかマイタウン丸
  11. 日記抄・平々凡々なれども多事多端
  12. 感謝感激 表紙担当者、現る
  13. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 5号
  1. 春だ、春だよ、春だがね
    • 【特集】知多半島一周、早春サイクリング
      やるときはやる、温泉あり料理あり、ウハウハ一泊小旅行
  2. 思い出の自転車旅3 阿武隈川を楽しみ、学ぶ 根本憲生
  3. Paris Brest Paris 2019参戦記  2023へ向けての備忘録 佐藤和道
  4. えらいものが手に入った
    • 【追跡】太閤秀吉公葬式行列之図
      これにはびっくり仰天! 戦国武将勢ぞろい、すごい大パレードがあったもんだ、古書展で出合った8枚の絵が語りかけてきたもの 多度山 山口 章
  5. トライアスロン参戦記1 藤原伸久
  6. 怒りのバックドロップコーナー3 ええっ、おろっ…あり得ない
  7. 読者との交流広場「晴走雨読」
    • 晴れの日には自転車を走らせ、雨の日には本を読もう!
  8. 【特集】地域誌「ふもと」ただいま奮戦中
    • ぐる〜と一周、伊吹山の麓を掘り続ける三田村圭造編集長の執念
      ママチャリで桶狭間!
  9. 清須城から桶狭間古戦場まで走ろう
    • 信長は何を考え、どの道を走ったのか。そのコースを自転車でたどる
  10. 本のちょっと自転車本・番外『めざすは桶狭間!』
  11. 〈日記抄〉平々凡々なれども多事多端
  12. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 6号
  1. 【特集】ママチャリで浮野合戦史跡めぐり
    • 五条川遊歩道をポタリング
  2. はな垂れ小僧奮戦記 サイクリングラリー・イン・なら 藤原伸久
  3. ブラポタリ 荒子川の源流を求めて 楠樹 暖
  4. 【追跡】「豊太閤御葬式之図」出版の背景
    • 秀吉の葬儀は_ 明治期にも秀吉人気が再来
  5. えらいものが手に入った
    • 【追跡】太閤秀吉公葬式行列之図
  6. Paris Brest Paris 2019参戦記2 2023へ向けての備忘録 佐藤和道
  7. 戦国時代が面白い
    • 戦国史料『影印武功夜話』全21巻が完結
  8. フェースブックでワイワイガヤガヤ
    • 新緑の秋葉街道へ、まっさかさまに落ちていけ
  9. 読者との交流広場「晴走雨読」
    • 晴れの日には自転車を走らせ、雨の日には本を読もう!
  10. 【お遊び企画】われらは自転車、信長公は馬
    • 古戦場へ、桶狭間めざしてサイクリング
  11. 令和のど根性出版 いつまでやるの?まだまだ出します!
  12. 〈日記抄〉平々凡々なれども多事多端
  13. えんぴつ・編集後悔記
「自転車大好き」 7号
  1. ママチャリで鹿児島の志布志へ
    • 【特集】78ジジイのそれ行け!九州
      ニッポンは広いか狭いか?  都会と田舎の格差を知れ、迷うのも旅の面白さだ 山陰を通って鹿児島まで行ってきましたっ!
  2. 健筆は健脚の基 寄稿者、大奮闘 今度はあなたが
  3. Paris Brest Paris 2019参戦記3 佐藤和道
  4. ブラポタリ 遊郭編・中村遊郭の堀と徳左川 楠樹 暖
  5. 治田(はった)鉱山跡 山口 章
  6. ちゃりんこ雑記 藤原伸久
  7. 読者との交流広場「晴走雨読」
    • 晴れた日には自転車を走らせ、雨の日には本読もう!
  8. 怒りのバックドロップコーナー4
  9. 歩道の段差に一ことだけ言いたい
  10. 【内輪話】零細出版の現場から・売れたら作る「ハンドメンイドブック」
  11. 悩みの種、不良在庫をなくすには
  12. いざ、しまなみ街道へ 乗れるか、ロードバイク
    • 思わぬ肩すかし、夢の企画が幻に いつまでたっても、あこがれのコースでしかないのか
  13. この号の寄稿者紹介
  14. 【日記抄】平々凡々なれども多事多端
  15. えんぴつ・編集後悔記

※各号B5判・60頁前後。バックナンバーご希望の方は本代550円(税込み)に送料300円を加算して当店へ(同梱可)。郵便振替口座は00860・2・12258。

※第7号は令和3年10月発行。一度も遅れることなく、定期的に出ております(季刊)。これ以降も出るでしょう、多分。

 


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