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■御遺戒書

 『御遺戒書』について

 今回、影印復刻する写本には題が記されていなかったが、筆者が別に所持する写本には『御遺戒書』とあることで原題が判明した。全四冊、天(二冊)・地(一冊)・人(一冊)より成る。

 第一話に井上主計頭(かずえのかみ)が登場する。元和のころ、井上主計頭正就(まさなり)が秀忠の使いで駿府の家康のもとに行き、数日滞在した。その間に家康が天下国家の政道の教訓を井上に話したのをまとめたものだが、後に井上が家臣の松永道斎に述べた記録『松永道斎聞書』との関係も研究に値すると思われる。

 秀吉の言行を知ると、彼の人間性が鮮やかに浮かんでくる。これに対して、家康にはそれに類するものがない。例えば秀吉には妻や子に宛てた、人の心を打つ多くの手紙が現存しているのに、家康には皆無である。

 家康は四書の中でも特に『孟子』を重んじた。家康と孟子の共通点は政治家としての発言に終始している点にある。『論語』が人間孔子の姿を悲しいまでに表現しているのに対し、『孟子』には苦悩する孟子の姿がない。

 そんな実像を結ばない家康の姿を、全四冊の本書の中に窺い見ることができれば、本書の復刻の価値は十分にあると思われる。

「古文書に親しむ会」講師 鬼頭勝之

 

 


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