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■虚無僧雑記

 『虚無僧雑記』は「国書総目録」にも小寺玉晁著とされている。しかし、左記のように本文には記されている。

  右虚無僧雑記ハ書友奥村得義子ノ筆記ナリ、借得テ写之
 一本書ノ中トイヘドモ、予見聞セシト異ナル文等ハ、カタハラニ朱ヲ以テ記ス
 一又此外ノ説、或ハ虚無僧ノ事ハ何クレトナク下ニ記テ、増補虚無僧雑記トハナス也
   癸卯 仲春            源廣路(印)

 このことから以下の事実がわかる。

 一、いわゆる『虚無僧雑記』は奥村得義(のりよし)著であり、それに右傍や上欄に朱注を加えたのが小寺玉晁であること。

 二、『増補虚無僧雑記』が小寺玉晁著であり、書き始めたのが天保十四年(癸卯)の仲春、つまり陰暦の2月であること。

 玉晁の没年が明治11年であるので、それ以降の記事、例えば最後の愛知県の甲四十八号の文書は後人の書き加えたものと思われる。が、これに関する詳しいことは今後の課題としたい。

 なお、本書は先に復刻した『芥見村虚無僧闘争一件』(全四冊)の事件のことも記されていて、主犯格の無宿倉蔵が本書によって加納藩の武士の次男で、武術の達人であったことが知られる。

 玉晁が『虚無僧雑記』を借りて写したのが天保14年2月、それから増補が始まり、事件の起きたのが15年2月、そして普化宗が廃宗になった明治4年の太政官通達まで含まれていて、虚無僧研究――特に、尾張藩との関係においては未紹介の貴重な史料も散見される。

 本書の存在は虚無僧研究会会長の小菅大徹師のご教示によったものである。本書を所蔵する静嘉堂文庫には玉晁の無二の親友高橋仙果の資料もあり、本書の存在もそのことと関係があるものと思われる。 鬼頭勝之(「はじめに」より)。

 

 


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