マイタウン(MyTown)| 一人出版社&ネット古書店 |
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前に紹介した『夢の跡』(蓬左文庫蔵)の後ろにはこの『三廓盛衰記』が付けられている。そして、こちらの方が分厚い。宗春の開設した三つの遊廓――西小路、富士見、葛町の実態を詳しく記録している。 その一つに享保19年(1734)時点の茶屋の経営者とそこで働く遊女の名を列記したのがある。京都や伊勢などから多くの人が来たと伝えられているが、ここに書かれている山城屋 また、遊女の身請け先一覧も興味深い。宗春バブルでもうけた商人たちの間で、遊女を身請けすることがはやっていた。いまならさしずめ高級車を乗り回すようなプライドにひたれたのだろうか。 その他、遊廓内の八景や四季などの紹介、城下での芝居の場所や演目、風説なども書き込まれている。遊廓は宗春の失脚とともに廃止されてしまったが、そこから“芸どころ・名古屋”を生み出す一因にもなった。本書はその様子と繁栄ぶりを物語る、数少ない史料となっている。歴史探索「徳川宗春」資料集(3)。 |
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