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■佐屋物語 登録有形文化財 鈴木仙太郎家の暮らしと住まい

鈴木仙太郎家の暮らしと住まい

 私たち鈴木家のものは、「佐屋」という言葉を聞くと、幼少の頃遊び歩いた佐屋の家のまわりの田畑や小川や町並みを思い浮かべる。今から思えば名古屋市の近郊とはいえ、やはり田舎の農村である。その街道沿いに「佐屋の家」があり、鈴木家はそこを本拠として代々暮してきた。

 鈴木家が世間で名が知られるようになったのは、祖父仙太郎が衆議院議員や愛知県県会議長など務めたからである。議員活動における祖父の言動については、公文書によって多少知ることができるが、私生活については本人があまり語らなかったためか、また、父易二や母義(よし)も立ち入った話をしなかったせいか、あまりよく知られていない。

 祖父母も父母も今は亡く、当時のことを聞く術もない。また、佐屋の姉妹兄弟も高齢になっており、この時期を失すれば、私たちの記憶にあるものは永久にこの世から消え去ってしまうことになる。

 このたび、仙太郎の曾孫でお互いに従兄弟どうしである黒川祐次君、堀田修史君、佐藤律子君、大野陽子君の四人が仙太郎の人となりや鈴木家の暮らしから土地建物にまつわる出来事を『佐屋物語』として纏められた。鈴木家の一員としてまことに喜ばしくその労に感謝したい。

 ことの始まりは、1999年(平成11年)夏ごろ、親戚筋に当たる永井彩子さんが、佐屋の家が古民家として研究するに値するとて、古民家再生研究会を主催されている降幡廣信先生に佐屋の家を紹介され、数回にわたって見学調査が行われたことによる。やや長期にわたって「故郷の廃家」同様に住む人もなく放置されていた佐屋の家であったが、降幡先生の評価は、私たちが考えていた以上のものであった。

 それが親族一同がその価値について見直す切っ掛けとなった。その後、黒川祐次君の助言によって、国の有形文化財に登録されるよう申請し、2008年(平成二十年)3月7日付で国の文化財として登録されるに至った。

 古民家再生研究会や文化財公開などの催し物が佐屋の家で開催されることが多くなるにつれ、一族が集まる機会も増えてきた。建築物としての佐屋の家のみならず、祖父仙太郎をはじめ先祖のこと、鈴木家の人々とそれに関係する多くの親族のこと、この土地と家にまつわる周囲の物事などが語られるようになり、このまま放っておくのはもったいないということになり作業が始まった。

 本書が完成するまでには多くの方々にお助けいただいた。特に、これまでやや埋もれていた鈴木仙太郎の業績を再発見して鈴木家住宅の文化財登録を主導していただいた石田泰弘氏には深甚なる感謝の意を表したい。

 また、この住宅をこの上なく愛し、その保存に尽力しておられる瀬戸口俊明氏にも心より敬意を表したい。そして、前述の降幡廣信氏、永井彩子氏、住宅の評価をしていただいた細野耕司氏、この住宅の建材を初めて本格的に調査された大羽直義氏をはじめ、資料を提供された方々や執筆された諸氏に感謝の意を表したい。その集大成がこの『佐屋物語』である。(鈴木三郎記・巻頭言より)

 

 

 


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