マイタウン(MyTown)| 一人出版社&ネット古書店 |
|
||
前書きに代えて−少し長い姓の話 クイズです。以下の人名がどんな人であるか、簡単に答えてください。
1.阿斗 2.班超 3.蔡倫 4.曹雪芹 5.貂蝉 6.麗君 7.馮道 8.顧之 9.何仙姑 10.洪武帝 11.金庸 如何ですか。6割以上できた方は、かなりの中国通でしょう。8割以上の方は、この本を読む必要はないでしょう。 それはさておき、中国では「うそをついたら姓を変えるよ」(改姓)というような一種の誓いの言葉があります。 こんな「姓」にまつわる言葉を、ご紹介しますと、 日本の時代劇映画に相当する「武侠電影」では、仮に「張」という男が、仇を討つのをやめたような場合には、「おれはもう張という姓はやめだ」(我不姓張了 おれは張という人間に値しない)というせりふがでてきます。 それから中国語には、「五百年前是一家」とよく使われる言葉もあります。これは「同姓のものは、500年前は同じ一家である」ということ。 以上のように、どうして、こんな言葉があるかと言いますと、中国には、日本の鈴木、加藤、伊藤のように、よく使われる姓に、五大姓というのがあって、それは「王、張、李、趙、劉」という姓です。この五つの姓の人の数だけで、日本の総人口の2倍以上と言われています(ただし、台湾では「陳」姓が一番多いようです)。 そんなことで、同姓の人に出会う確率はかなり多くなります。そして改姓をしませんから血筋は続くのです。 まだ、他にも(易姓革命 えきせいかくめい)という言葉もあります。これは、 「中国古来の政治思想で、天子は天命を受けて国家を統治しているから、天子の徳が衰えれば天命もあらたまり、有徳者(他姓の人)が新たに王朝を創始する(大辞泉)」というものです。 如何ですか。以上のような話からもお分かりのように、どうやら中国人にとって、「姓」には日本人とは比較にならない特別の意味があるようです。 ここで、話し変わって、以下は私の体験談です。
その一
その二
「黄色」 その三 その四 その五
ここで「余」について説明しますと、 ただし、現在の習近平国家主席が打ち出した「ぜいたく禁止令」による「不剰菜、不剰飯」(おかずもご飯も残さない)のスローガンで、食べきれない料理を提供する習慣は変わるかもしれません。 中国人と最初の挨拶の「好(ニイハオ)」は、誰でも知っていますが、以上の話から、相手の「姓」一つで、コミュニケーションが図れることも知っていただけたでしょうか。 それから、中国人の姓は、ほとんどが一字姓「単姓」です。だから中国人同士の初対面の挨拶でも、自分の姓を正確に相手に伝えるために、「我姓曹、曹操的曹」すなわち「私は曹と申します。曹操の曹です」のような説明をよくします。 そんなことから、中国人の主な「姓」を憶えることとプラス、中国の歴史や常識を知って頂けたらと、このような古代から現代までの人名辞典を書くことと致しました。 なお、日本語読みによる人名索引と、年代順による人名索引を巻末につけましたので、合わせてご利用ください。 終わりに こんな話があります。Aさんが仕事の関係で、「朱さん」という人に会うことになりました。そこで一応、明の太祖の「朱元璋」、朱子学の「朱熹」、元首相の「朱鎔基」をチェックしておきました。 さて当日。名刺交換が済んでから、Aさん、早速これらの人名を口にしたそうです。この朱さんは、朱元璋には何の興味も示しませんでしたが、なんと「朱熹」の子孫であると名乗ったそうです。仕事の首尾が上々であったことは、言うまでもないでしょう。 ということで、皆さん、次の人名の人に出会ったなら、どんな名前が浮かぶでしょう。 |
||