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白内障手術はこわくない
体験レポート − 私の場合は − その1

●8月26日 眼力とみに衰え、お先真っ暗な日々

 今月こそは白内障の手術を受けると誓ったはずなのに、いまだに医者へ行けないでいる。貧乏暇なし、その時間がない。左目はすりガラスをかけられたようで、見ている気がしない。

 新聞は見出しがあるからまだなんとか読める。困るのは漫画だ。大きな字がないので、新聞の4コマ漫画すら読めない。

 もう待ったなしである。今度こそ"万難を排して"医者へ行く。さて、どうなるのか。

 その一部始終はブログ「かきかき」に書いてゆく。題して「白内障飛んでけ通信」。白内障でお悩みの方、これからなりそうな方、わがことと思ってお読み下され。

●8月28日 人間、60過ぎたら賞味期限切れ

 60を過ぎたころ、目の悪さを意識し始めた。本を読んだりしていると、妙に疲れだしたからだ。年を経るにつれて文字が読みにくくなり、ときにはかすんで見えたりもした。

 目を酷使するショーバイなのに、ここまでよくぞ持ってくれたものだ。これには感謝することこそあれ、文句やうらみごとなどはなかった。老眼ならメガネをかければすむことだ。

 ところが昨年、老眼ではなく白内障だと知らされた。突然、目が真っ赤になり、びっくりして医者に駆け込んだ。そこで教えられたのは「充血は毛細血管が破れただけで、放っておけば治る。それよりも両眼とも白内障ですよ」とのこと。考えてもいない病名だった。

 いま振り返ってみると、60というのは大変な年である。このころから視力が急速に衰えだした。アッチの方も朝立ちして困っていたものだが、60を過ぎてからはまれである。

 そう言えば「夜叉ケ池」135キロも、60を過ぎてからは完走できなくなった。4回目の挑戦、63歳のときにやっとゴールを踏めたが、そのときの無理がたたって、左足首を痛めてしまった。「還暦」の持つ意味は非常に重い。

●8月29日 小さな親切、大きなお世話

 老眼ならメガネで何とかなる。しかし、現実問題として、かけたくない気持ちが強い。白内障とは知らず、随分、無駄なテーコーをしてきたものだ。

 疲れ目に目薬は常備薬だった。ブルーベリーのサプリがいいと知り、これも欠かさずに飲んでいた。こまれまでかなりの額を投入してきたはずだ。

 しかし、効果のほどはさっぱりだった。目薬をさせば一時的にはすっきりするものの、これによって視力が回復するというわけではない。白内障とあれば、なおさらのことだった。

 視力が衰えた、年も年だから老眼か、メガネのお世話にでもなるか、などと思っている60過ぎの方。大きなお世話かもしれませんが、あなたも立派な白内障かも。もう目っくり玉の使用期限は切れてしまったんです。

 私、ようやく悟りました。お医者さんへ行って来ます。あなたも一度、検査をお受けになってみては--。

●8月29日 愛知県は水浸し、このときわが店は

 保険証を持って、銀行で金を下ろし、いざ眼科医へ--。しかし、えらいことになっていた。未明の豪雨で町内は水浸しになったとかで、多くの家が後片づけに懸命だった。

 そんな光景を横目にしながら店へ行くと、入居している高架1階も30センチほど水に浸かったとか。1キロほどある事務所や商店などは大騒動で、その被害の大きさに同情してしまった。2階でよかった。うちが1階だったら、もう立ち直れない。

 目医者どころではなくなってしまった。そこだって浸水しているのでは。今日、初めて町名の「井深」が浸水しやすい低地であることを思い知らされた。

 夜中の2時ごろ、稲光とともにすごい豪雨で、目が覚めてしまった。一宮で1時間当たり120ミリ、岡崎では何と147ミリを記録している。時間当たりでは先の東海豪雨を上回るのもだが、幸いにも断続的だったことがまだよかった。

 天災はいまや忘れないうちにやってくる。温暖化で恒常的となり、もっとひどくもなる。そうなれば安全と思っている木曽川や入鹿池の堤防が切れる事態も遠からず起きてくるかもしれない。杞憂であるならばいいのだが......。

●9月2日 コイはマナイタにのった

 目医者へ行ってきた。店のすぐ近く、以前、充血で世話になった奥田眼科。目の各種検査を受けた結果、予想通り「老人性白内障」と診断され、悪い方の左目を手術してもらうことになった。

 いまは検査機器がしっかりしており、症状も正しく把握されるようだ。水晶体の後ろ側(奥)の方が特に濁っているとか。その混濁した水晶体を取り除き、眼内レンズを入れてもらうことになる。

 そのレンズも最近は遠近両用のものがあると聞いていた。それはありがたいと思っていたが、まだ普及しておらず(それともこちらには合わなかったのか)、近距離用のものでやってもらうことになった。遠くか近くかどち轤ゥを選ぶとなれば、近くを見ることの方が圧倒的に多い。

 16日に検査結果と手術の説明を受けることに。そして、20日(土曜日)の午後に手術と決まった。ここへ足を運ぶまでには随分迷ったものだが、先方は朝飯前といった感じにも見受けられた。

 すべてを先生にお任せするつもりだ。ぼくの友人は別の病気で手術を受けたとき、何だかんだと確認する"やかましい"患者だったらしいが、マナイタのコイになったこちらとしてはすべてを阿弥陀様にゆだねてしまうような心境である。ここならきっとうまくやってもらえる。

 この日、受け付けから帰るまで約2時間。何のためだか知らないが、採血までしてもらった。その注射が恐かったから、手術はそれどころであるまい。代金は5780円(国民健康保険で3割負担)。

●9月4日 ぼくは遠くを、君は近くを

 水晶体のレンズを近距離用にするのはすぐ納得できた。もともと左目は近視で、右目が遠視だった。若いころと比べると、ともに視力こそ落ちたが、右目が1.2、左目が0.7か0.6くらいだった。

 60を越してからの免許更新のとき、どうにか裸眼でパスするものの、担当者から「メガネをかけた方が......」と言われたものだ。来年が3度目の書き換えになるが、このままではとても受け入れられそうにない。そういう意味でも、もう待ったなしの手術だった。

 これまでは遠くを右目で見て、近くを左目で見ていた。これで新聞を読むのも、高く上がったフライを受けるのも、まったく支障はなっかた。若いころからアンバランスな左右が絶妙のコンビネーションで頑張ってきたのである。

 今回、右目は症状もまだ軽く、手術しないことにした。こちらは乱視もあるとみえて、目が疲れてくるとセンターラインなどが二重に見えたりもする。当分はこのままでいくのかと思うと、右目がいとおしくなってくる(大切に使わなくては......よろしく頼むよ)。

 左目がひどい白内障になり、新聞などが読めなくなった。このとき、右目はほとんど働いていない。手術が成功すれば「右目は遠くを、左目は近くを」の分業体制がまた"復活"することになる。いや、してもらわなくては困る。

●9月5日 血圧が高いと手術ができない?

 先生の診察を受ける前に、看護師さんから視力、眼圧などの検査をされた。その中で「血圧は正常ですか」と聞かれた。実は血圧が高いんですよ、トホホ。

 最悪のときは200を超えたこともある。いまはそれほどでもなかろうが(測っていないので分からない)、高いことに変わりはないようだ。おそらく150前後くらいあるのではないか。

 看護師さんは200と聞いたときに表情を変え、「まず(よその病院の)内科へ行ってきて下さい」と言われた。ええっ、眼科へ来たというのに、内科へ行けって? どうやら血圧が高いと、手術ができないらしい。

 そこで念のため血圧を測ってもらうことになった。案の定、156と低くはなかった。これまでにも血圧は気になっていたが、手術で問題になるとは思いもしなかった。

 「この患者さん、血圧が高いようですが、問題はないですか」

 先生の診察が終わってから、看護師さんが先生に確認された。先生は「まあ、それくらいなら問題はない」と判断された。こうして手術の前に内科へ通う必要はなくなったが、いずれは白内障に優るとも劣らず、高血圧が問題となってくるにちがいない。

●9月6日 千が一、失明の危険もあるって?

 先生は1枚の印刷された「説明書」をもとに、目の状態を教えて下さった。手術は局所麻酔をして20分から30分ほどで終わるとか。目玉を突かれるかと思うとおそがい(恐ろしい)が、麻酔は効いてくれるのだろうか。

 「こんなことを言うとやる気がなくなるかもしれませんが......」

 最後に万が一の場合のことも付け加えられた。術後の合併症として眼内炎や水疱性角膜症などで、最悪の場合は失明に至ることもないわけではない、と。しかし、その割合は1000人に1人か2000人に1人ほどだという。

 この話は以前、ご来店のお客様からも聞かされていた。その人は有名な三宅眼科で手術を受けられたそうだが、確か3000人に1人と言っておられたはず。数字だけから見れば確率は高いが、これは言葉のあやというもので、目くじらを立てるほどのことでもあるまい。

 別のお客様からは失敗を恐れる必要はないとも言われていた。術後によく見えなかったとしても、眼内レンズを入れ替える再手術もできるそうだ。マナイタのコイとしてはすべてをお任せし、上手に料理してもらえるよう、おとなしくしているだけである。

●9月7日 その麻酔が問題なのだ

 実は麻酔が心配である。30年ほど前、虫歯で医者にかかったときのこと。歯ぐきに打たれた麻酔注射で気を失ってしまった。

 あわてられたのは先生の方だった。片隅の長いすで2,30分寝かされた。自分ではそれくらいの時間に感じられたが、実際のところはもっと短かったかもしれない。

 あのときは正気に戻れ、無事に治療してもらえた。これまでに歯医者だけは何度もお世話になり、そして麻酔を打たれることも多かったが、気を失ったのは後にも先にもそのときだけである。

 しかし、目では打たれたことがない。その麻酔も注射ではなく、目薬だという人もいた。麻酔が効くと気を失う可能性もあり、効いてくれなかったら地獄である。

 16日に手術の説明を受ける。そこでは手術の方法などを伝えられると思うが、こちらからもかつての出来事を言っておいた方がいいだろうか。麻酔も問題なのだ。

●9月8日 酒飲みに麻酔は効かぬか

 あの"やかましい"患者は大酒飲みである。背骨の手術を受ける前、さすがに飲むのをやめて臨んだらしい。当時のブログにそんなことが書かれていたように思う。

 しばしば酒飲みには麻酔が効かないと言われる。もしそれが事実なら、こちらもやめなくては。食事をしないことはあっても、酒を口にしない日はない。

 そう言えば、退院してきた彼はブログで「酒と麻酔との関係はない」と書いていたような気もする。"やかましい"精神(?)を発揮して、入院中に先生に確かめたらしい。その書き込みを確認しようと探すのだが、なにせ1年以上も前のブログとあって見つけ出せない。

 酒など飲まぬに超したことはなかろう。しかし、やめられないとなると、その関係が気になってくる。16日に聞かなければならぬことがまた一つ増えた。

 

 

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